カテゴリ
全体 今後の演奏活動の予定 大宅さおりプロフィール 大宅裕プロフィール ライブ録音&ディスコグラフィー Saori's MEMO 白耳義日日是好日 レパートリー 演奏活動の記録 お知らせ 連絡先 おすすめのリンク ブログパーツ
その他のジャンル
|
ここ半年ばかり、読書と言えば村上春樹関連本ばかり読んでいますが、最近読んだ本「翻訳夜話」(村上春樹・柴田元幸 著、 文春新書)は大変興味深く、1週間後に控える久々のソロプログラムのアプローチとリンクし共感する点が沢山ありました。
翻訳者と演奏家(共通するinterpretater)は、その作品のテキストを別の言葉に置き換えたり、音符を音にするという作業がとても似ています。この作品を自分の言葉に訳したい、音にしてみたいという気持ちは同じ感情から生まれているようにも思います。そこには、作品が訴える何かを、自分だけで所有するのではなく、他の人とも共有したい、という出発点から始まります。あくまで、いかにそのテキストが言い放っていることを伝えるか、たとえ自分がそれに深くコミットしていたとしても、自分(interpreter)の感情をそこに多く含ませるような翻訳や演奏にならぬよう、テキストを忠実に伝える、ある種の伝道者のようなものでしょうか。それでもやはり、翻訳者の感性が文章に滲み出てしまうかもしれないけれど、、、、、。 そして、数々の翻訳がなされている作品をさらに新しい言葉で翻訳する事も大事だけれど、まだ翻訳では未発表の作品に触れ、その素晴らしさを知ったときに翻訳へと向かう感情は、一般的に演奏されるチャンスの少ない現代音楽作品を演奏会で取り上げることと近い気持ちでは、と思いました。 文中にある村上氏の文章を読むと、現代ものを弾くというのは結局こういうことだな、自分も、と思ったので、彼の文章を拝借します。 「翻訳をなぜするかいうと、正直に言いまして、翻訳というのは苦労は多いけれどそんなにお金にならない(笑)。だから好きじゃないとできないと僕は思うんですね。たとえば僕の場合であれば、翻訳をしているよりは、たとえば自前のエッセイを書いたり、短編書いたりしているほうが、経済的にははるかに効率がいいんです。効率ということから言えば。それでも僕が翻訳をやるのは、どうしても翻訳がやりたいからです。なぜ求めるんだろうというと、それは正確に答えるのが難しい問題になってくるんだけどたぶん、僕は文章というものがすごく好きだから、優れた文章に浸かりたいんだということになると思います。それが喜びになるし、浸かるだけじゃなくて、それを日本語に置き換えて読んでもらうという喜び、紹介する喜びというものもあるし・・・・・」 さて、長々と書きましたがコンサートのお知らせです。 大宅さおり「プロジェクション①」 【ピアノ・アクシス2012→2015】 2012年6月16日(土)午後3時より プログラム| ドメニコ・スカルラッティ:ソナタ ロ短調L. 33 フランコ・ドナトーニ :Rima ルチアーノ・ベリオ:葉 ドメニコ・スカルラッティ:ソナタ ニ短調L. 58 サルヴァトーレ・シャリーノ:ノットゥルノ 2番 ルチアーノ・ベリオ:火のクラヴィア ルイジ・ノーノ:・・・苦悩に満ちながらも晴朗な波(ピアノとテープ) ルチアーノ・ベリオ:水のクラヴィア (ベリオ作品は全て「6つのアンコール」より) 詳細はこちらで。 主催|株式会社オカムラ&カンパニー tel 03-6804-7490(10:00~18:00 土日祝休) fax 03-6804-7489 mail info@okamura-co.com http://okamura-co.com/
by oyaduo
| 2012-06-08 20:32
| 演奏活動の記録
|
ファン申請 |
||